親愛なるブラジルへ。
あなたは、地図の向こう側にある遠い国だと思っていました。 日本から見れば、地球のほぼ反対側。 直行便でも一日がかりの旅。
けれど、あなたの音楽を初めて聴いたとき、 距離というものは消えてしまいました。
ボサノヴァの柔らかなギター。 サンバの高鳴るリズム。 静かな夜に流れる、やさしいポルトガル語。
その音は、なぜか懐かしく、 まだ見ぬ景色のはずなのに、どこか記憶に触れる。
コパカバーナの白い波。 リオの山々の稜線。 アマゾンの深い緑。 イグアスの轟音。
それは観光地の名前ではなく、 あなたという国の「鼓動」なのだと感じます。
あなたの歴史は複雑で、 植民地時代の影も、 移民の物語も、 日本から渡った人々の足跡もある。
遠く離れたこの国と、あなたの国は、 すでに静かに繋がっているのですね。
旅とは、風景を消費することではなく、 心を開くことだと私は思います。
だから私は、 あなたの国を「見る」のではなく、 「感じに」行きたい。
市場で交わすひと言。 カフェで微笑む店員。 見知らぬ人の「Bom dia」。
完璧なポルトガル語は話せないけれど、 ありがとう、と伝える勇気だけは持っていきます。
ブラジル。 あなたは情熱の国と呼ばれるけれど、 きっと本当は、とても繊細な国なのだと思う。
強い光の裏にある影。 にぎやかな祭りのあとの静けさ。 海に沈む夕日の、ほんの一瞬の色。
私はその静かな瞬間に、 あなたと出会いたい。
いつか、あなたの空の下で。
また会いましょう。